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堆肥づくりがもたらす恩恵

更新日:5月26日

皆さん、こんにちは。


文化財の保存活用の新たな事例の取り組みとして、私たちは畳の再生に取り組んでいます。

「柳川藩主立花邸 御花」を実装の舞台に、廃材化された畳(イ草)、清掃の一環で大量にかき集めた落葉広葉樹を主な資材にした完熟堆肥をつくり、それをもとにイ草を栽培して新たな畳をつくろうというものです。

私たちはこのプロジェクトを「畳REBIERTH」と呼んでいます。


今回は堆肥づくりの過程をお伝えするとともに、その過程においての恩恵についてもお話しします。


資材の追加作業

弊社アドバイザー、堆肥の専門家である鴨志田さんとの打ち合わせを重ね、高温発酵を促すため資材を追加することになりました。

「既存堆肥900リットルに対し、2,000リットル以上にしたい」

CNBM分類に従って、炭素資材(C)・微生物資材(B)である落葉広葉樹、窒素資材(N)である米ぬか、炭素資材(C)であるもみ殻、ミネラル資材(M)である赤土を試算通りの体積比で投入しました。

これがなかなかの重労働。


検討メモ。

↓ ↓ ↓

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※CNBM分類については、すでに投稿済みの「Fellow Act-1stステップ」をご覧ください。


チャレンジしてくれたのは、当会理事でアパレルオーナーの長谷川くん、御花の施設管理Iくん、障害福祉従事者のHくん、米ぬか提供者である米問屋のEさん。

堆肥づくりに水分は欠かせないのですが、これが作業をより一層ハードにします。

目標の総量はおよそ2,500リットル。

最終的には、2,500リットルの資材に135リットルの真水を加え、まんべんなく水分が行きわたるよう、レーキやスコップなどで繰り返し撹拌。

水を吸った資材は非常に重く、慣れない作業に足腰が悲鳴を上げます。

外気温14℃にも関わらず、皆玉のような汗を流しながら1時間30分の作業を終えました。


以下、悪戦苦闘の模様。

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作戦会議。

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定量目標。

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資材投下&ならし。

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加水量=45リットルポリバケツ×3杯分(135リットル)。

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撹拌作業。もはや新種のエクササイズ。

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手揉みしながら水分浸透量を確認。

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何とも言えない達成感。


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油断は禁物。 堆肥づくりに重要なのは、水分量と温度管理。

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我が子を寝かしつけるよう、PP製カーペットをかけてやります。


順調に発酵中

そして翌日、AM11:00。

早くも70℃越え。

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小屋の内部は熱気を帯び、カーペットの表面からは温泉と見紛う湯気が立ち上っていました。

堆肥表面は黒茶けた色で湿っており、腐敗臭は一切ありません。

表現しがたい心震える瞬間です。

ちなみに、堆肥づくりにおいて60℃がひとつの目安。

病原菌、寄生虫、雑草種子などの死滅温度がそれにあたるためです。


堆肥づくりの中で得られる価値

仲間と共に堆肥づくりを行う中で思うのは、「文化的な豊かさ」「精神的なゆとり」を得られているという実感。

それは抽象的で霞がかったものではありますが、流行り言葉にすると、well-beingやレジリエンスに近いニュアンスになるのかもしれません。

ごく一般的なライフサイクルの中では得られない唯一無二の体験によって、デジタル培養された人体機能を浄化させているような気にさえなります。


堆肥づくりから得られる喜び、感動、活力、浄化など、人それぞれの価値があると思いますが、堆肥づくりはあくまで手段。

その先の畳生産も手段です。

私たちが目指すのは、文化財を主体にしたコミュニティーの形成、これら一連の営みを体験プログラムに人材育成ならびに地域再生を図ることです。


その先へ

コンポストを軸に交流を育む「コミュニケーションコンポスト」の潮流が物語っているように、社会貢献・循環経済は決して特別なものではなく、極めてカジュアルで余暇を充足させるための選択肢のひとつとして、今やそのポジションを確立しているように感じます。


私は堆肥づくりを通して、未来のあるべき姿を考えるようになりました。

(環境活動家のような堅苦しいものではありません)

すべてのモノは土に還り、また再生する・・・

人間が抗うことのできない自然の摂理を、身をもって感じることができたからです。

自己実現欲求の度合いが高い私は、この視座・視点を持てただけでも充分です。


ソーシャルグッド

悪戦苦闘しながらもチャレンジの連続である堆肥づくりですが、私たちのモットーは「Learning by doing(やりながら学ぶ)」。

失うものは何もありません。

ただ楽しみながら。

周りから何を言われようが(笑われようが)、信念を貫き常識を覆し、新たなスタンダードを創造する。

いやはや何ともBlood type Bを自嘲してしまいますが、私のようなクレージーな人種はもはや希少性ありかもしれません。

一途にクレージーに、堆肥づくりから生まれる可能性を追い求めることもまた、ソーシャルグッドと言えるのはないでしょうか。


では。

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